東京発(2019年11月21日):プレミアムコンテンツクリエーター向けデジタルテクノロジー企業であるパブマティック株式会社(本社:米国カリフォルニア、共同創設者兼CEO:Rajeev Goel、以下、PubMatic)は、株式会社デジタルインファクト(本社:東京都文京区、代表取締役社長:野下智之)と共同で、メディアバイヤーを対象に、2019年の国内市場のアプリ内広告の意識調査を実施しました。調査の結果から、国内のデジタル広告全体におけるアプリ内広告予算の割合は高い傾向にある一方、アプリ内枠におけるプログラマティック広告の媒体社の在庫品質(インベントリクオリティ)に対するメディアバイヤーの懸念が大きいことがわかりました。
以下が、同調査におけるハイライトになります。
- デジタル広告予算全体のアプリ内広告予算の割合の平均値は28%であった。
- アプリ内広告を実施する目的として、広告主は、「ブランディング」(46%)の割合が一番高かったが、広告代理店は「アプリのインストールを促す」(56%)が一番多い答えであった。
- メディアバイヤーの50%がFacebook、Twitter、LINE、Google App Campaignsなどのプラットフォームにアプリ内広告を出稿しているが、DSP経由でアプリ内広告枠にプログラマティック広告を買付しているのは16%であった。
- FacebookやLINEなどのクローズドのプラットフォームのアプリ以外で、メディアバイヤーが出稿しているアプリのカテゴリは、ニュース(71%)、ヘルスケア/ライフスタイル(50%)、ゲーム(41%)であった。
- アプリ内広告枠をプログラマティックに買付する際の課題として、最も多くのメディアバイヤーが「ブランドセーフティー(51%)」と回答、次いで「アドフラウド(48%)」を挙げ、媒体社の在庫品質(インベントリクオリティ)に対する懸念が浮き彫りとなった。
PubMaticのインサイト:
- 広告主と広告代理店のアプリ内広告を実施する目的の差異
日本のアプリ内広告を実施する際の主な目的として、広告主のあいだでは「ブランディング」(46%)の回答割合が一番高かったが、広告代理店は「アプリのインストールを促す」(56%)ために活用しており両者のアプリ内広告の目的に違いがみてとれた。この傾向は、アプリ内広告を出稿するアプリのカテゴリとそのキャンペーンのKPIの回答結果とも関連しており、「ゲーム」(広告代理店52%:広告主24%)や、「インストール単価 (CPI)」(広告代理店44%:広告主20%)は、広告主よりも広告代理店の回答が二倍以上高かった
- アプリ内枠におけるプログラマティック広告の媒体社の在庫品質(インベントリクオリティ)の課題
国内におけるデジタル広告予算全体のアプリ内広告予算の割合の平均値は28%であったが、アプリ内広告枠にプログラマティック広告を買付しているという回答は16%であった。メディアバイヤーの50%が、クローズドのプラットフォームにアプリ内広告を出稿していると回答していることから、広告費はそちらに流れていると考えらえる。その主要理由の一つとして、メディアバイヤーがアプリ内枠におけるプログラマティック広告の媒体社の在庫品質(インベントリクオリティ)に対し課題をもっていることが調査結果から分かった。
- アプリ内枠におけるプログラマティック広告の啓蒙の必要性
PubMaticのグローバルの調査*によると、海外メディアバイヤーの68%がアプリ内の広告枠をプログラマティックに買付していることから、海外市場と比較すると国内のアプリ内枠のプログラマティック広告市場はまだ発展途上であることがわかった。本調査において、アプリ内枠のプログラマティック広告の買付経験がないメディアバイヤーの31%が「プログラマティック広告の利点を知らない」と答えていることから、引き続きの啓蒙が必要である。
* Forrester Reseach “The Move Toward In-App Advertising” Q:How frequently do you include in-app advertising?
まとめ:
本調査により、日本でのアプリ内広告がデジタル広告予算の四分の一以上を占めていることがわかり、アプリ内広告が今後のプログラマティック広告の成長を牽引する可能性を示していると予測します。一方、メディアバイヤーの約半数が、アプリ内枠のプログラマティック広告の媒体社の在庫品質(インベントリクオリティ)に課題を持っていたことがわかりました。この結果により、アプリ内枠のプログラマティック広告の信頼性を回復するためには、インタラクティブ広告協会(Interactive Advertising Bureau: IAB)が発表した偽造された広告枠や不正なインプレッションの販売を防止する「app-ads.txt」やサードパーティのアプリ向けビューアビリティー計測を可能にするオープンソースのSDKである「Open Measurement SDK」を導入し、プログラマティックのアプリ内広告における媒体社の在庫品質(インベントリクオリティ)の向上に取り組むことが不可欠であることがあることがわかりました。モバイル広告の予算がウェブからアプリへとシフトし、CPIキャンペーンだけでなくブランディングのために広告主がアプリ内広告を今後益々活用していくと予想されるなかで、バイヤーとセラーの両サイドから信頼される健全なプログラマティック広告のエコシステムを確立するために業界関係者が集結することが重要です。
PubMaticは、透明性の高いプログラマティックのサプライチェーンの構築に取り組んでおり、当社のプラットフォーム上の全サプライパートナーに「app-ads.txt」の採用を推奨しています。プログラマティック広告のメリットについて市場を啓発する継続的な取り組みの一環として、PubMaticは日本でのアプリ内枠のプログラマティック広告の普及を促進するために、日本のメディアバイヤーとパブリッシャーに対し引き続き啓蒙活動を実施してまいります。
詳細については、こちらをダウンロードしてください。
調査概要:
- 調査対象:国内アプリ内広告出稿者(広告主、広告代理店) 100名
- 調査期間:2019年9 – 10 月
- 調査主体:パブマティック株式会社
- 調査機関:株式会社デジタルインファクト
*本調査におけるプログラマティック広告は、 DSPを通して買い付けをおこなうアプリ内広告のみと定義し、アドネットワークやソーシャルメディア経由での広告は含まれていない。
*広告代理店所属の回答者には、現在担当されている主要クライアント1社を想起し回答するように依頼している。