現在、世界のインターネットユーザーの95%がネット接続にスマートフォンを使用しています。モバイルへの依存率が高いのは、シンガポール、韓国、日本などのモバイル先進国で、1日のモバイルアプリの利用時間が平均5時間以上となっています。消費者からの注目度の高さを考えれば、モバイル広告がAPACのマーケティング手法の中で重要な要素であることは驚くことではありません。しかし、モバイル広告の中では理解が進んでいない側面もあります。
モバイル環境の中で、ゲームは老若男女を問わず、世代を超えた新しい形の大衆娯楽として広まっています。2022年、世界中の消費者がモバイルアプリに費やした費用は1100億ドルを記録していますが、これは世界の映画興行収入の4倍以上にも上ります。日本だけを見ても、2022年のモバイルゲームからの収益は、国内の映画興行収入の8倍を上回っています。
APAC地域全体では、デジタル広告費の87%がモバイルチャネルに集中しています。しかし、実際のモバイルゲームにおいては、その支出の割合はどの程度反映されるのでしょうか?PubMaticは、Milieu Insight社に調査を依頼し、シンガポール、日本、韓国のブランドと代理店に、モバイル広告とゲーム内広告の購入の傾向、課題、今後の計画に関する調査を実施しました。調査で得られた所見は以下のとおりです。
ブランドのアプリ内広告への投資が成果を上げている
APAC地域のマーケティング担当者の10人中7人が、現在アプリ内広告をマーケティング戦略に取り入れています。アプリ内購入が最も多いのはシンガポールのバイヤー(88%)で、最も少ないのは日本のバイヤー(47%)です。どちらの国でも、パフォーマンス重視のバイヤー(77%)はブランド重視のバイヤー(60%)よりも、アプリ内広告を出す傾向が強いです。このような相違があるにもかかわらず、APAC地域のマーケティング担当者は、広告の目的にかかわらず、アプリ内広告の最大のメリットはブランド認知向上と回答しています。
広告主とモバイルゲームの間に残る障壁
調査の項目をモバイルゲームに絞り込んだところ、ゲーム内マーケティング戦略を実施しているマーケティング担当者は全体の52%に過ぎず、APACではその導入率には大きなばらつきがあることがわかりました。日本のマーケティング担当者でゲーム内広告に投資しているのはわずか15%であるのに対し、シンガポールのマーケティング担当者は77%でした。モバイルゲーム広告への投資に消極的な広告主の大半は、主な理由として、「会社やブランド価値に沿わない」、「ターゲットのオーディエンスが一致しない」を挙げています。
モバイルゲーマー層に対する誤解が生じると、購買力の高い層を含め、重要な層にリーチする機会を逃す結果になりかねません。マーケティング担当者は、モバイルゲームのオーディエンスは若い男性が多いということを根強く考えています。しかし、サードパーティデータによれば、平均的なモバイルゲーマーは男性よりも女性の方が多く、また高齢者のプレイヤーは若いプレイヤーよりもモバイルゲームに費やす時間が長いことが明らかになっています。日本ではモバイルマーケティング担当者が投資を躊躇していますが、モバイルファーストゲームコミュニティの55%を女性が占めています。
ゲーム内広告主の68%が、来年は予算を増やすか同額を維持する予定と回答していることを考えると、アプリ開発者やパブリッシャーが広告主のターゲットオーディエンスにリーチするには、人口統計、趣味、関心事、休日などで差別化されたインベントリに戦略的にキュレートできるテクノロジーパートナーとの協力が不可欠です。
モバイル広告主にとってコントロールと効率性は非常に重要な項目
アプリ内広告主の62%がプログラマティック広告を購入し、その他はパブリッシャーとの直接取引を選択する傾向があります。直接取引をしているアプリ内広告主は、購入理由のトップに「オーディエンスのターゲティングの正確さ」を挙げ、次に「広告掲載をコントロールしやすい」、「ブランドのゴールに合わせて、ソリューションがカスタマイズ可能」を挙げています。
サプライチェーンでは、プライベートマーケットプレイス(PMP)は、直接販売とプログラマティックの両方のメリットが得られます。パブリッシャーは、自社のインベントリのバイヤーを把握できる一方で、広告主は合理的な方法で、広告費をかけたいインベントリを選択することができます。PMPは、透明性、ブランドの安全性、インベントリの品質、取引価格に関する厳格な管理を備えた安全な環境を提供します。信頼できるパートナーと協力することで、広告主もパブリッシャーもPMPを通じてより良い成果を上げることができます。
2024年にビジネスを拡張する方法
2024年にはシンガポールのゲーム内広告主の86%、韓国の広告主の80%が、ゲーム内広告の予算を増やすか同じ予算を維持する意向を示しています。日本のマーケティング担当者だけが、前述したようなオーディエンスに対する誤解が原因で、ゲーム内広告に全面的にシフトするのを躊躇している状態です。ゲーム内広告の最大の魅力は「モバイルゲーマーに自社ブランドについて、ポジティブなイメージを連想してもらえる」ことだと、マーケティング担当者は回答しています。 高度にネットワーク化された現代のグローバル経済においては、モバイルゲームへの投資を検討中の国際的なバイヤーから広告費を獲得するパブリッシャーのチャンスが広がっています。適切なパートナーと協力することで、多様なチャネルや地域から収益を獲得することができます。
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