高級腕時計や高級バッグからデザイナーズシュースなど、様々な模造品が世界の色々な大都市を中心に溢れ返っています。模造品は通常、適切な許可を受けずに他者のブランドをかたって製造・販売されており、当然品質も悪いです。こうした模造品ビジネスは、4610億ドルの産業になっていると推定されています。とはいえ、これはアドテクのブログにふさわしい話でしょうか?
実は、こうした問題は高級品市場に限ったことではありません。プログラマティック広告においても、「インベントリのスプーフィング(なりすまし)」、「透明性の欠如」、「権限のないセラー」といった問題などが存在しており、広い範囲で未解決のままとなっています。スプーフィングには、現実世界の模造品との共通点がたくさんあります。たとえば、悪質なウェブサイトは、一流パブリッシャーになりすまし、システムを悪用して質の悪い広告スロットを格安で販売します。これが現実世界ならば、商品の価格や買った場所をヒントに、購入者が「これは模造品である」と承知した上で購入するケースもあるかもしれません。デザイナーブランドは、街角でバックを売らないのです。しかし、プログラマティックの世界には残念なことに、そのようなレベルの透明性がなく、バイヤーは往々にして情報がないまま広告の購入を決めてしまいます。
では、これに対して何ができるでしょうか。IAB Tech Lab(PubMaticも加盟企業)は、対策として「ads.txt」を選びました。これによりバイヤーが、「オープンなデジタルエコシステム内の偽インベントリに対する監視」の質を高められるよう支援するのです。ちなみに、ここでの「ads」は、Advertisements(広告)の省略ではありません。これはAuthorized Digital Sellers(認定されたデジタル販売者)の頭文字です。Ads.txtは、パブリッシャーやディストリビューターが、デジタルインベントリの販売を許可した会社を公表するのに使える、シンプルかつ柔軟で安全な方法です。
バイヤーが情報に基づいてより良い判断をできるよう、パブリッシャーがウェブサーバーにおいて以下のフォーマットでこの情報を管理します。
Format: <SSP Domain>, <SellerID>, <PaymentsType>, <TAGID>
Ex: pubmatic.com/, 12345, DIRECT, 5d62403b186f2ace
「認定されたデジタル販売者」の記録を公開することで、パブリッシャーはマーケットプレイスのインベントリを管理します。そうすることで、詐欺業者が偽の広告スロットを販売して稼ぐことを防いでいくのです。バイヤーは、参加パブリッシャーの認定販売者をすべて確認し、パブリッシャーとSSPの関係を把握して、含まれているランダムな数字をある程度計算できるようになります。これにより、各インプレッションの本当の価値と信憑性をブランドが評価できるようになるのです。
ある広告を掲載するために、複数のシステムを経由する場合があります。そして、そのバリューチェーンにおいて、ソースの正当性における透明性を得たい場合にads.txtが役立ちます。PubMaticは、デジタル広告のエコシステムの浄化にはads.txtが重要であると理解しています。そして、ads.txtの恩恵や迅速な採用に使えるリソースについて、顧客への啓発に全力で取り組んでいます。
新しい構想や製品は時を経て進化するものであり、ads.txtも例外ではありません。適切な方向への大きな一歩だとはいえ、現状ですべての潜在的なシナリオを解決できるものではないということも認識しています。しかし、PubMaticは、このソリューションを拡大し、認定されている地域やチャネルなど、販売者情報を追加していくのは非常に有望だと考えています。
アルゴリズムとイノベーションの世界においては、パブリッシャーもメディアバイヤーも、ソフトウェアプロバイダーやソリューションプロバイダーとの連携を追求していくことが欠かせません。そうしたパートナーは、成績の向上と主要業績評価指標(KPI)の達成を実現するだけでなく、エコシステムを啓発しサポートしてくれる存在であるべきです。ブランド広告費のプログラマティックへの移行が続くなか、信頼できるパートナーのニーズはこれまで以上に重要になっていくことでしょう。