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Cookie

Professional headshot of Ankur Srivastava
By Ankur Srivastava, Director, Product Management- Ad Server
March 11, 2020

今日のプログラマティック広告は、オーディエンスセグメンテーション、ターゲティングからフリークエンシーキャップとアトリビューションまで、すべてにCookieを利用しています。サードパーティのCookieの利用制限により、この既存モデルに齟齬が生じ、オーディエンスのアドレサビリティに大きな影響が発生します。つまりは、バイヤーに対してはスケールとプログラマティック広告の有効性にマイナスの影響を与え、パブリッシャーには収益の悪化を招く可能性があります。

SafariやMozillaなどのブラウザがデフォルトでサードパーティのCookieをブロックする動きに続いて、ウェブトラフィックの3分の1以上で、サードパーティのCookieは事実上すでに消滅しています。特に米国のモバイルウェブトラフィックを見ると、サードパーティのCookieの半分以上が機能していません。 CCPAとGDPRの観点から見た現在の規制環境は、ユーザーのさまざまな目的でのデータ収集と利用に関する理解と制御を強化すると同時に、オーディエンスのアドレサビリティをさらに制限しようとするため、現状をさらに困難にしています。さらに、CTVのような新しいメディア形式は、オーディエンスのアドレサビリティのためにサードパーティのCookieに依存していません。

オムニチャネルおよびマルチフォーマットキャンペーンを求める広告主が増加しているため、サードパーティのCookieの重要性が低下することは明らかです。ただし、Cookieに代わる信頼できる代替手段がないため、広告主はオープンウェブから予算を移行するため、パブリッシャーのプログラマティック広告の収益が低下する可能性があります。

しかし、未来は必ずしもすべて悪いことばかりではありません。サードパーティCookieの利用制限がもたらす課題は、イノベーションを促進し、ユーザーを含むさまざまな関係者に十分に理解され、受け入れられるフレームワーク内でオーディエンスターゲティングを確実に行う機会となります。実際、さまざまな業界関係者がユーザーのアドレサビリティの問題を解決しようとしているため、いくつかの肯定的なトレンドが見られます。

トレンド1:人に基づくアイデンティティソリューションの重要性の高まり

ファーストパーティのユーザーデータにリンクされたユーザーIDを提供するアイデンティティソリューションの使用が、拡大しています。プライバシーとコンプライアンスを確保しながら、多くのパブリッシャーが、自社のコンテンツにログインの必要性を設定することでスケールを生み出し、かつ、プログラマティックエコシステムにおいてユーザーベースのターゲティングを行うことができる場合に、大きな勝利を得らえる機会は生まれます。これは、「崩壊しつつあるCookie」シナリオに対処するために、最も有望な解決策の1つでもあります。

トレンド2:アイデンティティソリューションのメカニズムの簡素化

サードパーティのCookieにより、さまざまなアドテクプラットフォームがユーザーの匿名IDを作成でき、それらは相互に同期してIDをマッピングします。このソリューションは、さまざまな企業がパブリッシャーの関与を必要とせずに独立して運営できるという意味で、非常にスケーラブルでした。ただし、さまざまなアドテクベンダーのピクセルがページに与える影響のため、ユーザーエクスペリエンスの低下、互いに同期するアドテクサプライチェーン(SSP、DSP、DMP)のさまざまなホップとしてアドレサビリティを可能にするユーザーが大幅に損失するなど、いくつかの大きな副作用があります。Digitrust、Trade DeskのUnified ID、ID5などのソリューションは、標準化されたIDを考案することで、この問題を解決しています。ここでの前提は、パブリッシャーがSSP、DSP、およびDMPで使用される標準化されたIDを送信するだけであれば、はるかにクリーンで効率的なユーザー同期プロセスが得られるだけでなく、バイヤーが大幅に高いスケールを獲得できることです。

トレンド3:業界でのコラボレーションの増加

さまざまなアドテク業界関係者(パブリッシャー、SSP、DSP、DMP、広告主、代理店)が積極的に協力して有望なソリューションを作り出さなければ、崩壊するCookieに対応するアイデンティティソリューションの問題を解決することはできません。アイデンティティソリューションについて成功を得るには、いくつかの重要な要件があります。まずは、このソリューションを実装するパブリッシャー、ID、DMPにターゲティングを可能にするSSPやDSPおよび、これらのID利用をターゲティングするオーディエンスプールの作成を必要とするバイヤーなどの、アドテクサプライチェーンの業界関係者により採用される必要があります。また、アイデンティティソリューションを成功させるには、ウォールガーデンと競争力を持つために、十分なスケールを達成する必要もあります。

幸いなことに、私たちはすでにアイデンティティに関して多くのコミュニ―ションを開始しています。これは業界全体にとって非常に前向きな兆候です。サプライサイドでは、ドイツのNet ID Foundationや、イギリスのOzone Projectなどの取り組みがあります。さまざまなフォーラムに参加しているパブリッシャーも増えており、バイヤーにアドレサビリティなオーディエンスを提供し、自社データを有効化するための実用的な戦略について議論しています。

アイデンティティソリューションへの取り組みは、鶏と卵の問題になる可能性があります。これは、すべての関係者にとって意味のあるソリューションを開発し、推進し初めて解決できます。結局のところ、広告主が最も関心を持っているのはプラットフォームから得られる価値であり、最終的にはキャンペーンのROIによって測定されます。広告主は、広告費用対効果(ROAS)が最大化される施策に対し、引き続き予算を投資します。エコシステム全体でスケーラブルなアイデンティティソリューションを共同で開発することで、業界はオープンウェブ上に、ウォールドガーデンに代わる堅実な選択肢を提供できるのです。